今話題のソーシャルレンディングが気になるけど、“貸し倒れってどのくらいの頻度で起きるの?”、“実際に貸し倒れを起こした業者はあるの?”と疑問を抱いていませんか?
ソーシャルレンディングは「高利回り」な点を始め魅力溢れる投資ではありますが、投資である以上当然「リスク」は存在しています。その中でも、一番懸念されるリスクは「貸し倒れ」についてではないでしょうか。
結論から言うと、実際にいくつかの業者で貸し倒れは発生しており、今後も一定の確率で発生してしまう可能性は高いと言えます。
そのため、最悪の事態を避けるためにも、貸し倒れリスクを理解して、リスクヘッジを行いながら安全な運用を心掛けることが大切です。
このページでは、元大手金融投資顧問会社のアセットマネジャーとして、様々なファンドを運営してきた筆者が、今最も注目されている最先端投資のソーシャルレンディングにおける「貸し倒れリスクとその対策」について、以下の流れに沿ってわかりやすく解説します。
すべて読めば、「ソーシャルレンディングの貸し倒れリスク」についての理解が深まり、「高利回り」等のメリットを活かしながら無理なく安全な投資判断ができるようになるでしょう。
0. ソーシャルレンディングにおける貸し倒れはなぜ発生するのか?
ソーシャルレンディングとは、「お金を借りたい人」と「投資したい人」を結びつける融資仲介サービスの事を言います。
一般的に、企業などがお金を借りる場合は銀行から融資を受けますが、その為には厳しい審査に通過する必要があり、社歴の浅いベンチャー企業や、中小企業は銀行からの融資では資金需要を満額は満たせず、足りない分をノンバンクなどから高金利で融資を受け補填しなければなりません。
ソーシャルレンディングの場合は、そのような借り手が運営会社を通す事で、金利や融資期間など比較的融通が効く条件で融資を受ける事ができ、投資家側は他の投資と比較しても高い金利で資金を貸し付ける事が出来る為、双方にとって大きなメリットがあります。
しかし、中には借り手が倒産してしまうなどの理由で、返済不可能な状況に陥る場合があります。そうなってしまった場合、貸し倒れとなり、貸していた資金の全額もしくは一部が戻ってきません。
1. もしも貸し倒れたらどうなる?実際に起きた貸し倒れ事例3業者
では、実際にあった貸し倒れ事例と、貸し倒れた場合どうなるかについて解説していきます。
- AQUSH(アクシュ)における貸し倒れ事例
- maneo(マネオ)・SBIソーシャルレンディングにおける貸し倒れ事例
- 実際に貸し倒れた場合どうなるのか
maneo(マネオ)とSBIソーシャルレンディングおいては、「個人向けローンファンド」に限った事実であり、現在ではほぼ全ての業者が「企業向けローンファンド」の取り扱いしか行っておらず、「企業向けローンファンド」での貸し倒れ率は0%です。
1-1. AQUSH(アクシュ)における貸し倒れ事例
アクシュは過去に長期間の返済遅延と貸し倒れを起こしたという評判が多く寄せられています。
残念ながら、アクシュの公式HPでは公開情報が少なく、事実確認が出来ませんでしたが、多くの口コミや投資家自身のブログによって返済遅延・貸し倒れがあった事実について公表されている為、ほぼ間違いなく、返済遅延・貸し倒れは発生したと言えるでしょう。
参考までにネット上の口コミは以下です。
たびたび返済の滞りが発生し、2013年までに計4回ほど、貸し倒れが実際に発生しております。2年以上にわたりaqushは返済の延滞と発表しておりましたが、延滞開始から2年後にとうとう貸し倒れと処理したようです。
貸し倒れが発生した中の一つが次のようなファンドです。
- 36ヶ月の元利均等返済、年利10%、2013年1月貸出
- 36ヶ月の元利均等返済、年利10%、2011年2月貸出
いずれも運用期間が長く、金利も高いのが特徴です。
2015年5月から返済遅延が続いていた4ファンドについて、今月も元本・金利の返済はありませんでした。
返済遅延が続いているのは以下の4つのファンドです。
AA-36-10.00-20121101 (2012年11月組成)
A-36-9.00-20121101 (2012年11月組成)
B-36-9.00-20121101 (2012年11月組成)
C-36-10.00-20121101 (2012年11月組成)(出典:http://kennygorou931.blog84.fc2.com/blog-entry-715.html)
<返済状況について> 2013年9月以来、2回目の貸し倒れの被害を被りました。
上記から、度重なる返済遅延の末、貸し倒れが発生している事がわかります。貸し倒れたファンドについての返済は、一部行われませんでした。
2011年頃まではソーシャルレンディング業者は数える程しかなく、今ほど業者選択の余地がなかった事も原因の一つかもしれません。
貸し倒れを起こしたアクシュの案件が、「個人向けローンファンド」であったのか「企業向けローンファンド」であったのかは残念ながら確認出来ませんでした。
現在は、融資可能な案件の募集がなく、営業を中止しています。
1-2. maneo(マネオ)・SBIソーシャルレンディングにおける貸し倒れ事例
AQUSH(アクシュ)以外にも、業界最大手のmaneo(マネオ)や、SBIグループのSBIソーシャルレンディングでも貸し倒れが発生しています。
SBIソーシャルレンディングでは、2011年から2013頃にかけて運営していた「個人向けローンファンド」で、5,541,545円の返済遅延・貸し倒れが発生していたという事実があります。(金額はSBIソーシャルレンディングの運用実績より確認することができます。)
同じく、maneoに関しても、「個人向けローンファンド」において、詐欺やトラブルによって貸し倒れが発生していたとの事です。
(出典:yahoo知恵袋)
両者の事例から、いかに個人に対する貸付が高リスクでであったかということが伺えます。
この様な事実から、maneo、SBIソーシャルレンディングを始め、現在は、ほぼ全ての業者が「個人向けローンファンド」から撤退しています。
もちろん、貸し倒れが発生しない事が一番ではありますが、日本リスクデータバンクの調査によると、全業種の平均貸し倒れ率は毎月1%程度という結果が出ており、ソーシャルレンディングにおいても、貸し倒れは一定の確率で起こり得る事がわかります。
1-3. 実際に貸し倒れた場合どうなるのか
投資家にとって、最も避けたい「貸し倒れ」ですが、今後も、一定の確率で発生してしまう事は明確です。
では、実際に貸し倒れた場合どうなってしまうのでしょうか。実は貸し倒れが発生した場合でも、必ずしも投資資金が返ってこないというわけではないのです。
例えば、不動産担保が付いている商品の場合、借り手側が債務不履行を起こしても、不動産売却等の経済行為をして得られたお金を投資家に返却する事ができます。
また、保証会社付きの商品であった場合、借り手側が債務不履行を起こした場合に保証会社が全額もしくは一部を肩代わりして支払ってくれます。
そして、どちらの保証もついていない場合でも、ファンドの中には1つの業者に投資する場合と、複数業社へまとめて貸し付けている場合があり、複数企業へ貸し付けていた場合は、例えその内の1社が倒産した場合も、他の企業が返済を続ける事で利益は減るかもしれませんが、元本割れという最悪な事態は免れる可能性があります。
ソーシャルレンディング業者としても、できる限り貸し倒れは避けたい為、最近ではこのようなリスク分散された商品が多く用意されています。
2. 後悔する前に!貸し倒れリスク対策のポイント4つ
ソーシャルレンディングで投資を行うにあたり、貸し倒れにあって後悔しないよう事前に押さえておくべき絶対的な注意点を2つご紹介しておきます。
貸し倒れリスク対策として事前に押さえておくべき注意点は以下の4つです。
- 信頼性の高い業者を選ぶ
- 担保保証(保証会社)付き商品を選ぶ
- 必ず複数業者に分けて分散投資する
- 商品についてもジャンルを分けて分散投資する
2-1. 信頼性の高い業者を選ぶ
国内業者の多くは、公開情報が少ないベンチャー企業です。
現段階では、国内市場は未成熟で発展途上であることから、倒産などの企業リスクも比較的大きい業界である事を理解して「信頼性」の高い業者を選びましょう。
例えば、大手企業からの資本を集めることに成功している業者は、経営面での信頼性が高いと言えます。
2-2. 担保保証(保証会社)付き商品を選ぶ
上記の通り、もしも貸し倒れが発生した場合、投資資金の全額もしくは一部が返ってこない場合があります。
その様な事態を回避する為に、担保保証付き(保証会社付き)の商品を選ぶことをおすすめします。
また、「担保保証付き」と言っても「満額カバー」なのか「5割カバー」なのかでは全く事情が異なるため、どの程度の保証が付いているのかについても確認した上で投資先を選定しましょう。
2-3. 必ず複数業者に分けて分散投資する
ソーシャルレンディングに限らず全ての投資について言えることであり、プロが必ず行なっているリスクヘッジ策が「分散投資」です。
特に未成熟なソーシャルレンディング業界では、過去に貸付先の精査が甘くデフォルト(貸し倒れ)を起こした業者(AQUSH)のような最悪な事例も現に発生しているため、業者の信用リスクは他業界より高いと言わざるを得ません。
当然、しっかりとした健全経営でソーシャルレンディングの最大の魅力である高利回りな商品を問題なく償還し続けている優良業者も多いため、ソーシャルレンディングが魅力的な投資であることは間違いありませんが、万が一のリスクを避けるためにも、一社の案件に集中投資することは避けて、必ず複数の業者に分けて分散投資するようにしましょう!
2-4. 商品についてもジャンルを分けて分散投資する
前項の理由から、業者については分散投資してリスクヘッジするのは絶対と言えますが、個別の商品についても本来の投資リスクヘッジの観点から、ジャンルを分けて分散投資することをおすすめします。
それは、世間一般的な事情として、同業態の事業者は経済変動等により同じような経済的影響を受けるため、一社の経営が傾くと同業態の業者も同じように経営が厳しくなるという特徴があるためです。
特に、ソーシャルレンディングでは、デフォルトにより投資元本が返ってこないという最悪のリスクに対するヘッジ策を考えるべきであり、「事業者に対する貸付け」という仕組み上、同じようなジャンルの商品ばかりに投資するのはリスクの上積みでしかありませんので、できるだけ他ジャンルに分けて分散投資するよう心掛けましょう。
3. ソーシャルレンディングをやるなら押さえておくべき信頼性重視のおすすめ業者5選
前章の通り、ソーシャルレンディングにおける業者選びは「企業信頼性」と「商品の安全性(担保保証の有無)」で業者を比較していくことが大切です。
実際には、「利回り」等その他の項目も含めて最終的に自身のニーズにあった業者の中で個別商品を選択していくことになりますが、押さえておくべき厳選5業者として「信頼性」を最重要項目とした上でその他の項目に関しても優れている業者をご紹介します。
業者のサービス内容は随時変更されていくため、あくまで2017年10月時点での情報ですが、上記の条件を満たす業者としては以下の5社がおすすめです。
- 『maneo(マネオ)』|複数の大企業から出資を受けている業界最大手
- 『オーナーズブック』|不動産案件メインで全商品不動産担保付きの業者
- 『LCレンディング』|保証内容が非常に手厚い商品が多い人気業者
- 『クラウドクレジット』|伊藤忠商事が出資する社会貢献性が高い商品を扱う業者
- 『SBIソーシャルレンディング』| SBIグループに属す手堅い業者
※募集期間が非常に短い案件が多いため、気になる業者の口座は予め開設しておいた方が良い。
ソーシャルレンディングの個別案件の投資募集期限は数日間と非常に短いものが多いです。 また、募集期限前でも募集額満額に達した時点で締め切られるため人気案件はすぐに募集終了してしまいます。 良い条件の案件を見つけてから口座開設していては間に合わないケースもあるため、 気になる業者の口座は予め開設しておくのがおすすめです。
3-1. maneo(マネオ)|複数の大企業から出資を受けている業界最大手
『maneo(マネオ)』は2007年に日本で初めてソーシャルレンディングサービスを始めた業界のパイオニア的存在で、GMOクリックホールディングスやSMBCベンチャーキャピタル等、大手企業からの資本を集める事実から信頼性が高く、国内シェア率NO1.の人気業者です。
初めて開設する口座やメイン口座として最もおすすめです。
3-2. オーナーズブック|不動産案件メインで全商品不動産担保付きの業者
『オーナーズブック』はカカクコム株式会社等大手企業から出資を集める信頼性の高い業者で、不動産のプロによる厳選された全件不動産担保付きの商品を扱う人気業者です。
「maneo」同様、投資家から多くの人気を集めるオーナーズブックは、「商品安全性」「年利回り」共に一歩抜けており、初心者から中上級者まで幅広くおすすめできます。
3-3. LCレンディング|保証内容が非常に手厚い商品が多い人気業者
『LCレンディング』はジャスダックに上場するLCホールディングス株式会社の100%子会社である事から信頼性が高く、不動産に特化した商品を扱う人気業者です。
LCホールディングスの保証が付いた非常におすすめな手堅い商品も扱っており、初心者にも上級者にもおすすめの業者です。
3-4. クラウドクレジット|伊藤忠商事が出資する社会貢献性が高い商品を扱う業者
『クラウドクレジット』は伊藤忠商事株式会社等大手企業から出資を集める信頼性の高い業者で、海外向けに特化した高利回りな商品を扱う人気業者です。
ペルーやカメルーンといった資金不足の新興国への融資を中心に、彼らの自立と貧困からの脱出を担うといった社会的意義が大きい投資ができる他の業者にはない特徴があります。
残念ながら担保保証はありませんが、グループ会社や世界レベルの大手金融機関の出資を受けている提携会社に限定して融資を行うことでリスクを低減しています。
投資経験が豊富で、資金的に余裕がある人におすすめの業者です。
3-5. SBIソーシャルレンディング|SBIグループに属す手堅い業者
『SBIソーシャルレンディング』は大手金融会社SBIグループで信頼性が高く、全件担保付きの安全性が高い商品を扱う人気業者です。
不定期でキャッシュバック等の嬉しいキャンペーンを開催する事もある為、開催中のキャンペーンは可能な限り活用する事をおすすめします。
4. まとめ
いかがでしたでしょうか。
ソーシャルレンディングにおける貸し倒れについて理解が深まったのではないでしょうか。
貸し倒れは一定の割合で起こり得るリスクではありますが、本ページでご紹介した内容をしっかりと押さえれば、有事の際に、大きな被害は免れる事ができるのではないでしょうか。
きちんと信頼できる業者を選び、リスクを抑えた後悔しない最先端の投資を行いましょう!
<信頼性重視のおすすめ業者5選>
- 『maneo(マネオ)』|複数の大企業から出資を受けている業界最大手
- 『オーナーズブック』|不動産案件メインで全商品不動産担保付きの業者
- 『LCレンディング』|保証内容が非常に手厚い商品が多い人気業者
- 『クラウドクレジット』|伊藤忠商事が出資する社会貢献性が高い商品を扱う業者
- 『SBIソーシャルレンディング』|SBIグループに属す手堅い業者