FXに興味があって調べていると、大儲けしたという話もあれば、借金をして人生リタイアなどどいう話も聞くけど、“FXで借金をするってどういうこと?”“残高がマイナスになるなんてことあり得るの?”と、疑問を抱いていませんか?
結論から言うと、『FXで借金になることはほとんどない』と言えます。しかし、稀に借金をしてしまう人がいるのも事実で、そうならないためには借金をしないための対策を身につける必要があります。
このページでは、私自身の10年以上のFXトレードの経験をもとに、「FXで借金をしてしまう4つのパターンと4つの対策」について、以下の流れに沿ってご紹介します。
すべて読めば、FXで借金しないために必要な方法がわかるようになり、借金をしない安全なトレードができるようになるでしょう。
1. FXで借金になることがほとんどない理由
FXで借金になることがほとんどない理由は、ほとんどのFX業者には「強制ロスカット」というシステムがあるためです。
基本的に、普通にトレードしているだけでは大きく負けても、あらかじめ証拠金として預け入れた金額以上に損をする事は滅多にないのです。
1-1. 強制ロスカットとは
「強制ロスカット」とは、トレーダーが取引する中で発生する損失が口座に預けた資金(証拠金)の額を超えることがないように、含み損があらかじめ決められた証拠金の割合(証拠金維持率)以上に膨らんだ場合に、システムが自動で強制的に損切り決済するという仕組みで、トレーダーの保護とFX会社の損失を防ぐことを目的とした仕組みです。
そのため、強制ロスカットが成立すれば元本以上の損失をすることはありません。
しかし、例外的にレートがあまりにも大幅な変動をした場合、強制ロスカットがうまく約定しなく、取引値が損切りラインから大きくずれてしまうことがあります。その場合は、不足分をFX会社から請求されますが、そのようなケースになるには経済的な事件や大災害、テロなどインパクトのある要因が必要であり、滅多に起こることではありません。
1-2. 強制ロスカットにかからないためのリスクヘッジ策
そもそも強制ロスカットにかからないためのリスクヘッジとして、レベレッジを低くするというものがあります。
「レバレッジ」とは、トレーダーがFX会社の口座に預けた資金を担保に、FX会社からその何十倍もの資金を借りて大きな金額のトレードができるという制度です。日本のFX会社の場合には金融庁からの規制がありますが、個人口座でも最大25倍までの取引が可能になっています。
上図のようにレバレッジをかけすぎたが故にハイリスクハイリターンとなり、すぐに強制ロスカットとなる可能性があり、運が悪ければ元本以上の損失が出るリスクがあるのがレバレッジの怖さで、レバレッジを低くすることで、リスクヘッジが可能です。
2. FXで借金をしてしまう4つのパターン
FXそのものの取引では借金をする可能性が低いことがお分かりいただけたと思います。以下FXで稀に借金をしてしまう4つのパターンを紹介します。
- 急変動に強制ロスカットが追いつかなかった場合
- ポジションを持ったまま翌朝や土日を迎えその間に為替が大きく動いた場合
- FX業者のシステムトラブル
- 過信して自ら借金をして投資資金にしてしまう
2-1. 急変動に強制ロスカットが追いつかなかった場合
前述したように、あまりにも大幅な変動が起こった場合、強制ロスカットがうまく約定せずに、取引値が損切りラインから大きくずれてしまうことがあります。その場合には追加証拠金を請求されますが、自前で補えない時は借金をして支払う等するしかありません。
強制ロスカットが追いつかないほどの急変動は滅多にあることではありませんが、直近の例ではスイスフランの高騰で多くのトレーダーがFX会社から追加証拠金を請求されということがありました。
スイスフランの高騰
スイス国立銀行が2011年9月6日に「1ユーロ=1.2スイスフランを下限にそれを割りそうになった場合は無制限にユーロを買ってレートをキープする」という内容の無制限介入を発表したことにより、世界のヘッジファンドやトレーダー達がスイスフランの空売りに注目しました。
スイス国立銀行がスイスフランの価値が上がらないように、ユーロを買い支えると発表したわけですから、1.2を割らないとわかった以上、トレーダーにとってこんなに美味しい話はないのです。
しかしあまりにもスイスフランの空売りが進み、遂に、2015年1月15日18:30頃(日本時間)スイスフラン無制限介入撤廃の発表があり、それによりユーロ/スイスフランのレートが1.2から0.84へとわずか数分で30%の変動が起きました。ユーロのみならず、クロスフランを買っていたトレーダーがこぞって大損失に見舞われました。
2-2. ポジションを持ったまま翌朝や土日を迎えその間に為替が大きく動いた場合
外為取引は、24時間体制で動いており、それぞれの時間帯で参加する国も人も変わります。あなたが眠っている間にも常に誰かが取引をしており、様々な国で事件が起こる可能性があります。もしポディションを持ったまま翌朝を迎える場合は、急変動により強制ロスカットが起こる可能性も考慮しましょう。
さらに、全世界の為替取引が休みとなる週末にポディションを持ち続けることはリスクと言えます。金曜日に市場が閉まってから、月曜日に市場が開くまでの間に、為替変動に関わるような事件があった場合、ロスカットが成立し、予想以上のマイナスとなり追加証拠金を請求される可能があります。
2-3. FX業者のシステムトラブル
FX業者のシステムトラブルでシステムがダウンした時やシステム停止中にレートが大きく動いてしまった場合、強制ロスカットが成立しなく、再開した時には大きくずれた価格で約定してしまい追加証拠金を請求されるなどというケースも考えられます。
このような場合はほば不可抗力なので、FX業者が追加証拠金を請求してくるかは分かりかねますが、可能性として知っておくと良いでしょう。
2-4. 過信して自ら借金をして投資資金にしてしまう
「FXで借金をしてしまった」という人の大半が自ら借金をして、投資資金にしてしまうというケースです。つまり、FXの取引によって借金になったのではなく、自らお金を借りてきて借金をしたのです。もちろん最初から借金をしてFXを始めた人はいないと思います。
借金をしてしまう人の代表的なパターンとしては、自分の思惑と違った方向にレートが進んでも、いつか戻ると思い損切りをしないまま保有し、強制ロスカットとなり、次こそは負けないと思い追加で入金し、またロスカットになり、追加で入金するというのを繰り返し、そのうち生活費に手を出し、それでも足りなく、ついには借金をしてしまうというものです。
そこまでしてしまう人は、次は必ず勝てると過信しているので、借金をすることに抵抗がありません。その結果、儲けるために始めたFXで負け、借金もかさみ、人生リタイアとなり得るのです。
3. FXで借金を作らないための4つの方法
儲けるためにFXを始めたのに、損ばかりして、挙げ句の果てには借金まですることになってしまったら本末転倒です。この章ではそうならないための4つの方法を紹介します。
- 必ずストップロスを入れる
- レバレッジ1倍で取引する
- ゼロカットシステム
- 潔く撤退する
3-1. 必ずストップロスを入れる
ストップロス(損切り)とは、思惑とは逆の方向にレートが動いた場合の損失が、一定額に達した時点で決済する注文のことを言い、リスク管理をする上で絶対に欠かせない注文です。
プロのトレーダーは必ずストップロスを入れているといっても過言ではなく、むしろFXで勝ち残るための基本と言えることです。
トレードする度に必ずストップロスを入れるようにすれば、損失を自分でコントロールすることができ、借金どころか、強制ロスカットにかかるより遥かに少ない損失で収まります。自分で損益の範囲を決めることができる大変重要な注文ですので、うまく活用して資金管理に役立てていただきたいです。
3-2. レバレッジを1倍で取引する
「レバレッジ」とはテコという意味で、その言葉の通り、少ない資金で大きな金額のトレードができるハイリスクハイリターンな制度と言えます。レバレッジ10倍なら、1万円の資金を10万円として運用出来ます。このように、少ない資金で運用できることがFX投資をする上で、大きな魅力と言えます。ところが、レバレッジ1倍とは、1万円を1万円として運用することであるため、証拠金以上の取引をしないので、ローリスクローリターンとなります。
証拠金以上のお金を運用して取引することで強制ロスカットとなり、更にロスカットが追いつかない場合に最悪、借金となる可能性があるので、レバレッジ1倍の運用で借金となることは、ドルの価値がほとんどゼロになるくらいのことがなければありえません。
また、FXにはスワップポイントというものがあります。スワップポイントとは、銀行でいう金利のようなもので、通貨を買って保有した期間分だけスワップポイントが受け取れるというものです。スワップポイントが高い通貨を保有して、スワップポイントでの利益を目的としたトーレードスタイルもありますので、レバレッジ一倍にした場合、長く保有するリスクが少ないため、スワップポイントを狙った投資に向いています。
3-3. ゼロカットシステム
あまりにも大幅な変動の場合、取引値が損切りラインから大きくずれてしまい、不足分をFX会社に請求されるという可能性があることを既に説明しました。しかし、ゼロカットシステムが導入されたFX業者で取引をすれば、追加証拠金を請求されることはありません。
ゼロカットシステムとは、口座残高がマイナスになった場合の追加証拠金をFX業者が代わりに支払ってくれるシステムのことを言い、ゼロカットシステムを導入したFX業者を選んで取引すれば、仮に口座残高がマイナスになった場合にも、不足分を入金する必要がないので安心です。
しかし、ゼロカットシステムは国内のFX業者はどこも採用していなく、海外のFX業者で口座を開設する必要があります。国内のFX業者がゼロカットシステムを採用しない理由は、FX業者が損失を負担することで破綻する可能性があるからです。
それに比べ海外では、ハイレバレッジ取引が当たり前であるため、ほとんどすべての海外のFX業者がゼロカットシステムを採用しています。FXをする上で借金をしてしまうリスクを回避したい人は、ゼロカットシステムを採用している海外口座で取引をするのも一つの手です。
3-4. 潔く撤退する
勝つ人がいて、負ける人がいるのがFXの世界です。FXに限らず、投資をする上で絶対に負けないということは非常に難しく、トータルで勝つという覚悟を持って挑む必要があります。しかし、人は負けることに慣れていないため、負けると負けた分を取り返そうという気持ちになり、勝てばもっと勝とうという気持ちになります。
そのような気持ちに振り回されれば、FXは途端にギャンブルと変わらない泥沼ゲームとなります。大切なことは自分で作ったルールに従い淡々とコツコツと運用していくことであり、投資資金を使い切ってしまうことや、借金をしてまでFX投資を続けることは言語道断です。そのようなやり方では、一生勝てることはありません。
もしそうなった場合は、潔く撤退することをおすすめします。また、そうなることが不安な方もFX投資はおすすめしません。
極論ではありますが、絶対に損や借金のリスクを取りたくない方は、FXの世界に踏み込まないことが一番のリスクヘッジと言えます。
4. まとめ
いかがでしたでしょうか。
FXそのものの仕組みとしては、借金をする可能性は決してゼロというわけではありませんが、きちんと対策を講じていれば借金をすることはほとんどないということが理解できたのではないでしょうか。
FXは仕組みを理解せずになんとなくやっていると大損や借金をしてしまう可能性も十分にありますが、しっかりとリスクヘッジを行いながら行えば、小さな原資で大きな利益を生み出すことも可能な魅力的な投資だと思います。
本ページでご紹介した内容をしっかりと押さえれば、FXで借金になる最悪のパターンを回避でき、あなたのトレード成績の向上の大きな一助となるでしょう。
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